これまでにも何度かこちらのコラムで触れたことのあるドルインデックス(US Dollar Index)であるが、今回はこの指標を少々詳しく眺めて、今後のドルの展開を占ってみたい。
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ドルインデックスから占うドルの行方
これまでにも何度かこちらのコラムで触れたことのあるドルインデックス(US Dollar Index)であるが、今回はこの指標を少々詳しく眺めて、今後のドルの展開を占ってみたい。
ご存じの方は前半の解説の部分は読み飛ばしていただければと思うが、あまり聞きなれない、今さら聞けないという方のために、本題に入る前に、ドルインデックスの説明をさせてもらえればと思う。
テレビ・新聞などのメディアでの為替関連の報道では、あくまでも「ドル/円」のレートが中心だが、為替市場では「ドル/円」「ユーロ/ドル」「ポンド/ドル」など、国の数だけ米ドルのレートは存在するといえよう。
これら個別の通貨ペアの日々のレートを見ているだけであれば、米ドルはまちまちの動きをしている。そこで、為替市場全体として眺めたときに米ドルが上がっているのか、下がっているのか、相対的に米ドルはどのような動きをしているのか、それを確認することができるものがドルインデックスである。
一口にインデックスと申し上げても、公表元によっていくつか種類がある。そのうちの代表格はFRB(連邦準備制度理事会)が算出してHP上で公表されているものと、ICE(インターコンチネンタル取引所、もともとはニューヨーク証券取引所が算出していたが、2007年にICEに買収され、現在はその傘下にある)で算出、指数先物が上場されているものがある。
ICEのドルインデックスは投資家の間でも盛んに取引がされていて、実際、皆さまが目にするのはこちらのほうが多いだろう。それぞれのHPは次の通りである。
FRB:
http://research.stlouisfed.org/fred2/graph/?id=DTWEXM
ICE:
https:/www.theice.com/productguide/ProductDetails.shtml?specId=194
とくに、読者の皆さまも簡単にデータにアクセスでき、ダウンロードをして、お手元で加工もしやすいのはFRBのインデックスであるかと思われるので、今回のコラムではこちらの数字を敢えて使用してみた。
ドルインデックスを算出する際には、為替レートを使用するのであるが、それぞれ米国との実際に発生している貿易等の取引に基づいて構成比率に変化を加えている。ICEの場合は、使用する通貨を主要6通貨に限定しており、それぞれユーロ57.6%、円13.6%、英ポンド11.9%、カナダドル9.1%、スウェーデンクローナ4.2%、スイスフラン3.6%となっている。
一方、FRBのほうは主要6通貨だけに留まらず、豪ドル、韓国ウォン、ブラジルレアル、ロシアルーブルまで広く網羅している。ICEとFRBの指数の示す数字に違いはあるが、基本的に2つの動きはほとんどマッチしているので、同じものと考えていただいてよい。ドルインデックスの長期的な傾向
そこでまず、ドルインデックスの超長期のチャートをご覧にいただこう。

テクニカル分析に長けている読者には釈迦に説法であるが、分析に慣れてない方は、今後の参考として使っていただければと思うが、超長期の傾向から読み取れる特徴を把握するための一番シンプルでわかりやすい方法は、兎にも角にも、過去の高値と安値を意識することである。
すると図1のように、高値安値に印をつけていくと、上昇している期間と下降している期間が浮かび上がってくるはずである。これだけの単純な作業だけでもドルインデックスの場合は、
1.上昇期間は下降期間に比べてかなり短い
2.いったん下降期間に入ると直前の上昇期間で値上がりした分は全て打ち消され、それ以上に下がる
という特徴が確認できよう。単純計算で着地点を予想
次に行う作業としては、それぞれの期間がどれぐらい継続したのか、そして、価格はどれほど動いたのかを算出する。このような単純な計算をすることによって、時間軸と値幅という2つのカテゴリーで見た価格の予想着地地点のようなものが見えてくるのである。
相場を予想する場合は、ターゲット価格がいくらであるか、ということを当てるのも重要なことであるが、それがいつになるのか、という時間軸の要素も非常に重要である。個人的には実は、むしろ、時間軸のほうに重きを置いている。というのも、価格はなかなかピンポイントでこれ、と予想するのは難しいので、相場に参入して、たとえ利が伸びていたとしても、どこで撤収するのかを価格だけで目途を立てるのは難儀である。また、時間軸を考慮していないと、最後に相場が急伸する美味しい部分を取り逃がすリスクもある。
価格のターゲット計算の代表的なものには、フィボナッチ数列を使った黄金比率があるが、たとえば、この相場は相当下落すると思って売りで仕掛けても、高値からの下落が61.8%なのか、38.2%なのか、あるいは全戻しなのか——比率に従って計算すると2つ、3つと可能性が出てくる。
しかし、そのうちどれが正解となるかは、相場が終わってみないことにはわからない。しかし、時間軸の目安がある程度たっていれば、価格がいずれかのターゲットに到達していてもいなくても、「時間切れ」ということで相場からいったん撤収することができる。
そこで、ドルインデックスの時間軸を考えるうえで必要となる高値安値の期間を抽出すると、図2のようになる。
それぞれの高値安値の日付と日数は、
● Aの安値からBの高値まで
期間:
1978年10月30日~1985年2月25日
日数:
営業日ベースで2310日(6.4年、77カ月)
● Bの高値からCの安値まで
期間:
1985年2月25日~1995年4月19日
日数:
営業日ベース3705日(10.3年、123.5カ月)
● Cの安値からDの高値まで
期間:
1995年4月19日~2002年1月28日
日数:
営業日ベース2476日(6.9年、82.5カ月)
となっていて、ドルの上昇期間は2400日前後、6年強であるということがいえる。そこで今回の下降期間も、前回を参考にすればだいたい3700日前後、約10年という日柄のターゲットが導き出せる。
また、ターゲット価格の算出の場合、前述したように、黄金比率でも他の分析からでもさまざま存在する。誌面の都合もあるので、もっとも単純なものを挙げると、BからCまで下落局面では148.12から79.22まで下落しているので、比率としては53.5%、ドルインデックスは減価したといえる。そこでDの113.10から53.5%の減価ということになれば60.49である。これが非常に大まかな今回のステージの最安値のターゲットとすることができる。ドル安トレンドは終了か
現在は超長期のドルインデックスのトレンドから考えれば、ドル安のステージにいるといえるが、それがいつまで継続するのか。
まずは、非常に単純に考えて、Bの高値から前回と同じ下降期間を辿るとするならば、3705日後となるのは2012年3月21日である。
もう少し丁寧に見た場合、相場というものは長期、短期を問わず、安値と高値がひとつのセットになって初めて動きが生まれ、トレンドが形成されていく。そこで前回の高値安値を1セットのサイクルとして考えると、AからCまでの期間は6015日(16.7年、200.5カ月)という数字が出てくる。今回のサイクルのスタート地点であるCから6015日後となるのは、2011年10月7日である。
2つの時間軸のターゲット計算から、前回同様の超長期サイクルが今でも健在ということであれば、2011年10月7日から2012年3月21日の期間の間に、今回の最安値をつけるのではないだろうか、と推測できよう。
こうしたターゲット計算は、往々にしてズレが生じるものであり、しかも、40年近くに及ぶ超長期のチャートから計算しているのであるから、数カ月の誤差は当然発生するものと考える。そこで、今回の時間軸の2011年10月7日には数カ月早いものの、2011年5月2日の68.09で最安値をすでに達成した可能性は大いにある。そうなると、ドル信認の失墜といわれて久しいが、実はすでに、ドル高ステージに突入したと考えることもできるのである。
また、時間軸にもう少しこだわるのであれば、2011年5月2日はまだ少々早すぎる。やはり、最安値は2011年10月7日から2012年3月21日の期間のどこかでつけるに違いないということになる。すると、5月2日の68.09は最安値とはならないので、2012年3月21日までの間に68.09を割り込む瞬間があるというシナリオになる。
それについてもう少し専門的な話になるが、それぞれの下落局面で値幅も落ちるスピードも最大で、チャートを見ても落ち方が顕著なのはBaとDa’である。Baの日数が1039日に対して、Da’の日数は1066日であり、その差わずか26日となっている。そこでエリオット・ウェーブに照らし合わせてみると、この期間が第3波までに相当すると考える。
ちなみにエリオット・ウェーブでは、5つの波セットでひとつのサイクルととらえ、トレンドが完結するという理論である。それぞれの波には特徴があって、非常に単純に申し上げると、下降局面であれば1、3、5波で価格の下落が進み、2、4波の段階で調整が入るイメージである。
第1波と第5波に比べて、第3波の下落がもっとも激しいというのも、エリオット・ウェーブの一番わかりやすい特徴である。そこで、波のパターンから考慮すると、2011年12月18日現在は、第4波の調整波の最終ステージにいるものと思われる。最後の第5波はこれから訪れることになるので、2011年5月2日の68.09ではなく、2012年の第一四半期にもう一度米ドルは安値を更新してから立ち上がっていくほうが、チャートとしては美しい。
さらに、直近2年を抽出したチャートを見ると、2010年からのダウン・トレンドを2011年末辺りから上方向にブレークしてきたように見受けられる。この点からも、確かに2011年5月2日が最安値となった可能性は否めない。
実際に相場を張る際には、2011年5月3日の最安値を意識しつつ、最長では2012年3月まで引き続き、最安値更新の可能性もあると用心しながら取引をすることになろう。
いずれの場合でも、68.10からどんどん安値を更新していくというわけではなく、先に算出したターゲット価格から、どんなに安値を更新しても、60前後が目安とも考えられよう。2012年の第一四半期までは安値近辺をしばらくもみ合う展開が続くのではないかと考えている。
また、ドルインデックスの他に、「ドル/円」や「ユーロ/ドル」など、個別の通貨ペアを見ていると、時間軸ではやはり2012年年央までドル最安値更新の可能性を示唆しているものもあるので、今しばらくドルは全般的に安値近辺で推移しながら、今年後半からは立ち上がっていくものではなかろうか。
超長期のサイクルで考えれば、上昇局面は6年以上続くわけであるから、2018年までドル高が継続。これもまた非常に大まかな話ではあるが、1978年の「ドル/円」の最安値は8月につけた183円。1985年までの最高値は1982年につけた277円台である。また、1995年の安値は79円、2002年までの最高値は147円となっている。
277円-183円=94円
147円-79円=68円
ということから、「ドル/円」の安値が2011年10月31日に見た75円であるならば、少なく見積もって143円、多く見積もれば169円が2018年までのドル高局面で見るであろう「ドル/円」の最高値か。値幅が縮小しているので少ない可能性もある。
あくまでもチャート分析によるひとつの目安ではあるが、サイクル分析によれば、こうした目星がつけられる。
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