最初に質問です。「せっかちで落ち着きのない方と、落ち着きがあって何でも冷静に対処できる方のどちらがトレーダーとして向いているのでしょうか?」
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- 「富保有意識」を鍛えるための実践的方法論:竹井佑介
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■せっかちな人と、冷静な人の特徴の違い
最初に質問です。
「せっかちで落ち着きのない方と、落ち着きがあって何でも冷静に対処できる方のどちらがトレーダーとして向いているのでしょうか?」
後者だという答えがほとんどになりそうですが、本当にそうなのでしょうか?こういういい方をすれば、「前者だ!」という人も出てくるでしょうが、果たして本当にそうなのでしょうか?一緒に考えてみましょう。
まず、「せっかちで落ち着きのない方」について。一見、こういう方はミスも多く、売買ルールも守れないと、とられがちですが、実際はどうなのでしょうか。確かにそういう方がいらっしゃるのも事実です。ただ、一見せっかちで落ち着きのない方も、端から見ればそう見えるだけであって、実は非常に頭の回転が早く、てきぱきと行動しているだけなのかもしれません。
実際、頭の回転が早く、集中力のある傾向が強いです。集中力があるがゆえに、ひとつのことしか見えなくなり、周りの目などあまり気にせず、マイペースで行動します。そのペースは通常の人よりも著しく速く、また、目の前のものや、現在興味をもっていることに集中するがために、床に落ちているものなどに気づかずつまづいたり、周りのものによくぶつかったりもします(笑)。
また、逆に「せっかちで落ち着きのない方」は、頭の回転が早いため、大量のデータを処理できることも多いものです。ファンダメンタルやテクニカルなど制限を設けず、網羅的に勉強し、チェックすることができますので、より確実なサインを構築することも可能になります。
ただ、問題なのは、自分が「せっかち」であることを理解していないと、自分にまったく合わないルールを使ってトレードをしてしまうことです。
ここが2番目のチェック要素。「自分をよく知り常識にとらわれず判断する」につながります。初心者の方にとくに多いのが、いろいろな本を読んだり、セミナーに参加されたり、勉強熱心なのですが、その売買ルールを自分に合っているかどうか考えずに採用してしまうということです。
せっかちな方が、年に数回のチャンスのみを狙う長期的なトレードスタイルを採用したとしても、おそらく長続きはしません。それでしたら、はじめからデイトレードに特化したやり方に集中して、勉強したほうが良いでしょう。
■長所と短所を理解する
同時に、自分の長所と短所をよく理解しておくことも大事です。長所は放っていても大丈夫ですが、大事なのは短所です。
せっかちであることの短所は、「売買回数が多すぎる」「エントリータイミングを待てない」「ちょっとプラスになったらすぐに決済してしまう」などが挙げられます。 それが最初からわかっているのであれば、「1日の売買回数は3回以下」「トレードを始める前にエントリールールと陥りやすいミスを読み上げ確認する」「指値決済をする」といった対応策を先に取ることができます。
それをふだんから意識するために、紙にルールを書いておき、信号待ちや仕事の昼休みなど、少しの時間の間に見直したりもできます。また、3回ということを意識したいのであれば、ふだんから「3」という数字を強く意識しておくことです。信号を見たときに「赤、青、黄」で3色。だんごを見たときに「だんご3兄弟」の3。このように3に関係することをふだんから意識しておくことで、トレードするときも3回までということに対してより敏感になります。
■決めたルール通りの行動癖をつける
また、エントリータイミングを待てない点を直していくには、ふだんからルール通り行動する癖をつけていくことです。エントリータイミングが待てない方には、どのような癖があるのでしょうか。
そのひとつが、信号待ちができないことでしょう。横断歩道で信号待ちしているときに、隣にある信号をじっとみつめています。信号もやがて色は青から黄、赤へと変化していきます。その瞬間から自分の横断歩道側の信号に視線を移し、F1レーサーのように赤が青に変わった瞬間にロケットスタートします。
人によっては、隣の信号が赤になったらすぐに自分の信号がまだ赤にも関わらず進んでいってしまいます。このような方は、実際のトレードでも「あ、ルールに当てはまりそうだ!」とすぐにエントリーしてしまいがちです。
ただ、トレードの世界では、車よりも何倍も恐ろしい相手たちが目を光らせて待ち構えています。「そうだ」という段階でエントリーを続けている限り、遅かれ早かれ、市場にあり金を全部置いていくことになってしまいます。決済が早すぎる方も同じです。こうなると正確な期待値もわからなくなります。
■相場は期待値で勝つという発想が不可欠
相場では、期待値で勝つという発想が必要不可欠です。期待値で勝つとは、「勝率の高いものを長く繰り返すことによって、本来の勝率に近づけて勝つこと」です。そのためルール以前の大前提があります。
ルールを決めたら、ひたすらそのやり方で続けていかなければ、正しい勝率はわからないし、仮に、高い勝率のものだったとしても、そのやり方を淡々と続けていかない限り、そのルールがもつ本来の勝率、結果は出てはくれません。
このように、ふだんの生活における行動パターンが、そのまま相場で当てはまることが実に多いものです。そのため、相場でどうしても同じミスをしてしまう方は、逆に、ふだんの生活スタイルから見直していくと良いでしょう。
■冷静に対処できる人の短所と長所
同じような考えで「冷静に対処できる方」の長所と短所にはどのようなものがあるでしょうか?
長所は相場がどんなに急変動したとしても、ルール通りに淡々と対応できることでしょう。何より相場がルール通りにこないときや、自分が見たことないパターンのときに、うかつに手を出すことは少ないでしょう。そのため、期待値通りの結果は出やすくなります。
それでは短所に関してはどんなものがあるでしょうか?
ひとつは飛躍的な発見が起こりにくいことです。学びにはロジカルな側面とヒューリスティック(発見的)な側面があります。ロジカルな側面をもっていれば、勉強した内容やトレードノートから自分を分析し、勝ちパターンと負けパターンを測定することができます。
ただそんな方が比較的弱いのがヒューリスティック思考法。論理を積み上げた先にはなかなか出てこないひらめきや直感です。そのヒントは、周りからのアドバイスやふだんの生活のなかにさまざまなかたちで隠されています。
僕自身の例を挙げましょう。スローストキャスティクスを実際の相場に当てはめて研究しているときです。一部の知人やネットの書き込みなどで、「スローストキャスティクスだけで勝てるなんてありえない」ということをたくさん耳にしたり、目にしたりしていました。
それで、実際の相場でダマシなどが出る度に「やっぱり、これだけではダメなのかなぁ」と毎回落ち込んでいました。ただあるとき、ジェイク=バーンスタイン氏のスローストキャスティクスに関する本を見つけました。そのなかには、スローストキャスティクスポップという手法を使って、一般的な使い方であるレンジ相場以外のトレンド相場で積極的に応用することが書かれていました。このとき、ある問いかけが自分のなかから生まれました。
「世の中には、果たしてスローストキャスティクスだけで、相場で利益を上げ続けている人は一人もいないのだろうか?」
出てきた答えはもちろん「NO」です。このときです。全身に衝撃が走ったのを今でもハッキリと覚えています。そこからさらに学びと実践を重ねることで、スローストキャスティクスを使った「もみ合い」のカテゴリーわけ、「トレンド発生や反転、勢いのサイン」などを見つけることができました。
そして、考え方は移動平均やMACDなど多くのものに応用できました。さらには、シンプルにするために、移動平均だけで相場を見ていこうという発想も生まれました。
■人の脳は天才だ
この経験は二つのことを教えてくれました。まず、第一に「人の脳は天才」ということです。人は「無理だ!」と考えると、「なぜ無理なのか」という情報を周りから無意識に集めてしまいます。それですぐに、他の方法に移ったりするパターンにはまってしまいます。
いい換えれば、「思考に無理というブレーキをかけながら進んでいる」ということです。車もブレーキを踏みながらアクセルを踏むと壊れてしまいます。ただ、ブレーキは勢いが出過ぎたときの制御装置でもあります。
相場で大勝ちしているときに、油断しないようにブレーキを活用していけば良いのです。逆に、良い方向に考えれば、その理由も見つけることもできます。自分のポジションの正当化もこれにあたりますので注意が必要です。
■周りはヒントにあふれている
第二に、「周りはヒントに溢れている」ということです。それは本だったり、人のアドバイスだったりと、ふだんの生活のなかにあふれかえっています。実際、移動平均の発想をくれたのは妻を通して知り合ったトレーダーでした。
また、車ではスピードが出過ぎた場合、ブレーキをかけても停止するまで時間がかかります。そういうときに飛び出してこられると、急ブレーキが間に合わず、事故につながってしまいます。
また、猛スピードのときにウトウトすると命に関わります。これを相場に置き換えれば、大勝ちして調子に乗っているときには、冷静になるまでには時間がかかるということです。大きなポジションをもっているときに、相場が急変動すると対応が間に合わなかったり、よそ見などちょっとの隙に大損してしまうということです。世の中は比喩です。
■長所と短所を見極め、ふだんの生活レベルを改善することから始めよう
それでは結局、最初の質問「せっかちで落ち着きのない方と落ち着きがあって何でも冷静に対処できる方のどちらがトレーダーとして向いているのでしょうか?」の答えはどちらなのでしょうか?
その答えは、「どちらもトレーダーに向くようにすることができる」ということになります。まず、自分というものをしっかりと理解し、長所、短所をあらためてみつめ、短所の部分を埋める行動をふだんの生活レベルから改善していきます。
そうすることで、投資家としてだけでなく、その根本である人間としてのレベルも向上させることになります。それはそのまま富保有意識を上げることにもつながっていきます。
このように、ふだんの生活のなかには富保有意識を上げてくれるチャンスが溢れています。経験を通してどこまで学べるかが鍵です。人によって同じ経験をしても、そこから学べる内容は大きく変わってきます。結局は、想像力が経験を学びに変え、自分自身を鍛えてくれるというわけです。
■人生のなかで起こるできごとには必ず意味がある
人生のなかで起こるできごとには、良い、悪いではなく、意味があります。大損は一見悪く見えますが、見方を変えれば、大損のおかげでルールを構築し直すきっかけが与えられたり、大損するときの自分の癖を知り、自分のいい加減なところが見つかったりするきっかけを得ることもできます。
投資で成功するとお金が増えます。お金はその人が本来もっている性質を助長させます。ボランティア精神が豊富な方は、よりボランティアに力を入れるようになるでしょうし、教育に力を入れたいと思っている方は、学校をつくることもあるでしょう。
投資そのものを愛している方は、たくさんのデータを解析し、ツールを開発することでしょう。逆に、悪い思いを抱いていれば、その性質までも助長されてしまいます。
■トレーダーとして成功するためには人間的レベルの向上が不可欠
投資で稼ぎ、その資産レベルを維持し続けるためには、投資の腕を磨きながら、同時に人間の器も磨き続けなければなりません。
トレーダーとして成功するためには、自分の人間としてのレベルを上げていくことが大前提です。レベルを上げるためのヒントは、トレード画面はもちろんのこと、ふだんの生活の随所に散らばっています。ぜひ、今後、周りの様子にも今まで以上に「投資家として」目を向けて見てはいかがでしょうか。

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