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感情に左右されないトレード手法とは?:饗庭道孝
感情に左右されないトレード手法とは?:饗庭道孝

■屈辱的なトレード体験

仕事の関係上、会員の方からよくFXに関してのアドバイスを求められることが多いのですが、会員さまの質問内容から感じられることは、感情コントロールをしながら、冷静にFXをしている方が非常に少ないということです。

大切なお金でFXをしているので、FXで負けているときに冷静な判断ができなくなる気持ちは十分にわかります。私自身も、わずか1回のトレードに全資産をつぎ込んでいたときなど、毎日がとても不安で、不安で仕方がありませんでした。

全資産を株につぎ込んでいるため、思惑に反して負けてしまったら生活費にも困る状態にもなりかねない状況であったから、感情のコントロールができるはずもありませんでした。仮に負けてしまったら、かなり大きな損失になってしまうと思うと、気が気ではない心理状態だったのです。

しかし、運良く上昇トレンドに乗ることができ、200万円で買った株は300万円まで順調に上昇しました。このときに売っていればよかったのですが、もっと上昇するだろうと欲を出してしまうのが、また人間の特徴でもあるため、大幅に上昇した後も、ポジションを閉じることをしませんでした。

結果は、200万で買った買値すらも下回り、毎日価格は下げ続け、損失額が100万円に近づこうとしたときに、もうこれ以上耐えられないと思って株を売却しました。不幸なことに、翌日に株価は大幅反発し、屈辱的なトレード経験を味わいました。

今回は、株式投資の私の失敗談について述べていますが、株であろうがFXであろうが基本的な相場の原理原則は同じです。

■感情をセーブしたトレードが重要と気づく

このような失敗を何度も経験したり、会員の方の相談に乗っているうちに、トレーダーで勝つためには感情をセーブしたトレードがなによりも重要であるとの考えに至りました。感情をセーブできれば、100万円の利益が出ている時点で利益確定できていたであろうし、損失が拡大する前に損切りオーダーを出すことができたはずです。

なぜ、私の経験のように大幅な利益を出していたにもかかわらず、大きな損失で終わってしまったのか?考えてみると、"負けを認めたくない感情"が大きく影響していたと思います。

なぜなら、人間は、苦痛を避け、快楽を得たがる生きものです。意外に思う方が多いのですが、トレードには精神的な面が大きく影響してきます。

■起伏の激しい精神状態がトレードに悪影響

たとえば、あなたがあるトレードで損を出したときのことを考えてみて下さい。人間ですから、トレードで読みが外れて負けることはつらいことです。損を出すと悔しくもなります。負けが続くと自分にはトレードの素質がないのではないかと自信を失うこともあります。負けるということは、自分が下した判断が間違っていたということです。自分の間違いを認めるのはとても苦しいものなのです。

反対に、トレードで勝つと嬉しいものです。まぐれで勝ったとしても、とてもウキウキしてきます。何度か勝ちが続くと、自分がとても凄い人間に思えてきます。「俺はトレードの天才だ!」と思うことさえあります。天下を取った気分になるときもあります。これらはふつうの人間なら、ふつうに抱く当たり前の感情と心理状態です。

でも、この精神状態がトレードに影響を及ぼすことで、利益を小幅にし、損失を膨らますことに繋がりやすいのです。

■感情に左右されると"損大利小"に

2002年のノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマン教授は、『損失回避理論』のなかで次のように提唱しています。

「人間は同額の利益から得る満足よりも、損失から受ける苦痛のほうが大きい」

と。損大利小のトレードになってしまうことはすでに立証済みなのです。

損大利小のトレードを具体的にみると、ある日のトレードで、予想どおりに為替レートが動いて利が乗っていたとしても、「今日も負けるんじゃないか?」という思いが頭をよぎり、小額の利益を確保するために手仕舞いをして、「勝ちに走る」場合があります。

このようにして「勝ちに走る」と、表面上は「トレードに勝利した」ので、精神的には当然、ウキウキして嬉しいのですが、実は、これをやっていると利は貯まりません。損失を大きくし、小さい利益で確定させてしまう"損大利小"になっているからです。

相場で負ける人は、どんなにすばらしいトレード法を知ったとしても、感情に左右されてしまい、そのトレード法を守れなくなってしまうことにより、損大利小となり負けてしまうのです。

では、どうすれば感情をコントロールすることで損大利小を克服することができるのか?答えは、自分で決めた売買ルールを守るかどうかにかかっています。

■感情コントロールのツボ

どんな売買ルールでもいいのですが、投資を実践するうえで一番大切なことは"ロスカットポイント(損切り)は、どこか?"を決めたうえでトレードをすることです。これができない人は、100%、勝ち組投資家にはなれません。

ロスカットポイントに加えて、"エントリー(買いまたは売り)をどのようになったときに入れるか?"、そして、"エグジット(エントリーの決済)は、どのようになったらするか?"の3つのことをトレードをする前に決めておき、その方法でしかトレードをしないようにするのです。右記3点を明確にし、常にルールに従い、価格が変動しても動揺しないようにすることこそが、"感情コントロールのツボ"です。

■ロスカットポイントの位置決めが重要

3つの売買ルールを実践するうえでとくに重要になってくることは、"ロスカットポイントは、どこか? "ということを決めておくことです。これができていないと、1回当たりのトレードで、どのくらいの損失を受けてしまうかもわからないため、損失が拡大しているときなどは、動揺がもっとも激しくなり、損大利小のトレードになってしまいかねません。

感情に振り回されてしまう方は、1回のトレードで許容範囲以上のトレードをしている方が多いように感じます。

■上手な資金管理は相場で生き残る確率を高める

そこで、"ロスカットポイントは、どこか?"ということを考えるうえで必要な資金管理、マネーマネジメントを中心にお話ししたいと思います。

私たちはトレードで勝つことを目的としていますが、その前に、まずは、相場の世界で生き残らなければなりません。資金管理は感情をセーブすることにも役立ちますが、相場で生き残る確率も高めてくれるものですので、これをよく理解して、勝ち組トレーダーに共通する資金管理をマスターしてください。

■2%ルールの徹底

今回は、資金管理のなかでも一般的な2%ルールについて完璧にマスターしてもらいます。2%ルールとは、ひとつの通貨ペアの投資においてどんなに失敗したとしても、損失額は資金全体の2%以内に抑える方法です。

たとえば、2%ルールを採用して「ドル/円」に投資しようとした場合、「ドル/円」投資で失敗したときの最大損失は、資金全体の2%以内に抑えなければなりません。「ドル/円」でなくても、どの通貨ペアでも共通で、リスクは最大でも資金の2%としか取らないというルールとなります。

次に、2%ルールの具体的なやり方を説明していきます。まず、前提として、そのトレードでの最大損失額はすでに決まっています。あなたの投資資金の2%です。この2%の金額でルールを決めた以上は、絶対にリスクにさらすことをしてはいけません。

この前提のもと、サポートやレジスタンス、トレンドラインといったテクニカル的な節目の価格が損切りポイントとして決定してきます。

つまり、1枚当たりの損失額が決まりますので、後は何枚投資できるのか、その金額が資金の2%以内に収まるように調整します。それでは早速、チャートを使って確認してみましょう。

■2%ルールの実践方法

資金が100万円あったとします。許される損失額は2%ルールに当てはめて考えると、最大で2万円までとなります。そして、直近高値より形成されているレジスタンスライン(青いライン)を抜けた赤丸のポイントで買うことを決めました。

今まで何度もレジスタンスラインを上抜けることなく反落しているものの、このポイントを上抜けてきたことで、強い買い圧力が生じていると判断することができます。 損切りポイントは、逆指値注文を使って、レジスタンスラインの下に注文と同時に設定します。レジスタンスラインを一度上に抜けると、今度はサポートラインとして機能しやすく、価格を上に跳ね返してくるパワーが働きやすくなります。

そして、110円で買いエントリーをして、109円に損切り注文です。思惑と反して下落した場合は、109円で損切りになりますので、1万通貨買っていれば、1円下落しているので、1万円の損失になります。

今回は2万円まで損失を許容できますので、2万通貨まで買うことができます。計算式で表すと、最大損失(2万円)÷1トレード損失額(1円)で2万通貨までのポジションサイズを決定することができます。

具体例1

大事なことなので、2%ルールを採用した場合の説明を別のチャート(2%ルールの具体例2)を使って、再度、説明します。ここでも先ほどと同様に、投資資金が100万円だったので、取れるリスクは2万円までとします。

この場合は明らかに下降トレンドなので、完全に売り目線となっており、売り場を探している段階になります。ちょうどトレンドライン付近で反落したので、ここで売るのを決めました。

下降トレンドに沿った波動で下げているので、下降トレンドライン付近では、再び反落してくるものと考えられるからです。そして、損切りはトレンドラインの上に設定します。価格でいえば93円の赤丸のポイントで売り、損切りは95円となり、1トレード当たりの損失額は差し引きで2円となることがわかります。今回は2万円まで損失が許されているので、2万円÷2円で1万通貨まで売れることがわかります。

このように、損切り位置をレジスタンスラインやトレンドラインといったテクニカル的な節目をまず選んで、次にその値幅と資金の2%以内という資金管理を組み合わせたポジションサイズを決定できます。

具体例2

■リスクと利益目標との関係

損失額をコントロールする方法を学びましたが、ここで少し、利益額との関係についてもお伝えいたします。だいたいの個人投資家は、FXで勝っているトレーダーは勝率が高いと思っているかもしれませんが、私のトレードの勝率は半分も勝ててなく、約40%程度になっています。勝率50%を切っていても、資金は増え続けています。勝ちトレードの数は少なくても、勝ったときの利益額が大きいからです。

個々のトレードにおいて、目標とする利益額は損切りになったときの損失額の少なくとも3倍以上は欲しいところです。相場格言で、「利食いは遅く、損切りは早く」といわれますが、まさにこのことをいっています。

たとえば、あなたが「ドル/円」を100円で1万通貨買い、リスクを1円までと決めたとします。価格が99円に下がれば、リスクを1円までと決めているので、損切りとなります。2回目は、99円で「ドル/円」を買い、リスクを1円までと決めるも、ここで価格が98円になり、1円を失うことになります。

ここで2回連続で損切りにあっていることになります。3回目は、価格が上昇して99円になってから買い、目標の110円になったとすると、11円の益が出ることになります。最初の2つのトレードで計2円失い、最後のトレードで11円儲けたとすれば、3回のトレードのうち、わずか1回しか儲けていないのに、ネットで9円(11-2)の値幅に相当する収益となります。

多くのトレーダーが勝率にこだわっていますが、勝っていくためには、負ける金額よりも勝つ金額を大きくすることが求められます。

リスクと利益目標

■損小利大の実現へ

今回の資金管理手法(2%ルール)を実践していくことで、投資サイズ、投資枚数に注意して使うきっかけになっていただければ幸いです。「この局面ではこのぐらいの投資サイズに抑えよう」といったような資金管理、リスクマネジメントを理解し、資金コントロールできることが感情をコントロールすることに繋がり、ひいては多くの勝ち組トレーダーに共通している損小利大を実現できるようになってくるのです。

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