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昨年からの円安の流れが、年明け当初は継続しましたが、その後リスク懸念の円買いが入る展開となりました。

通貨ペア 動向分析 第5回:山岡和雄
通貨ペア 動向分析 第5回:山岡和雄

昨年からの円安の流れが、年明け当初は継続しましたが、その後リスク懸念の円買いが入る展開となりました。12月後半はクリスマスシーズンとあって、市場の取引が全般に細り、12月初めからの円売りの勢いは落ち着きましたが、円安の方向性に変化はなく、「ドル/円」、クロス円ともに下値がしっかりとした展開となりました。米国の景気回復期待が強く、投資資金のリスク回避傾向が弱まるなかで、金利差を狙って円を売り外貨を買う、いわゆる「キャリー取引」の動きなどが円安につながったかたちです。

クリスマスが明けて、海外勢の取引が本格的に再開すると、こうした円安の流れはさらに強まりました。世界的な景気回復の動きが2010年には強まり、各国の出口戦略が本格化するとの思惑が、当面利上げの可能性がない円を売って外貨を買うという取引を活性化したかたちです。

年が明けると、1月8日の米雇用統計発表を前に、いったん円安の調整が入る場面も見られましたが、その後、値を戻すなど、基本的には円安の流れが継続しました。

しかし、実際の雇用統計の結果がそうした流れを断ち切ります。市場の事前予想値、前回値の数字を大きく下回った弱い米雇用の結果に、米景気の回復期待が後退。翌週にでた米小売売上の結果も、雇用統計同様に予想を大きく下回るかたちとなり、市場では投資資金のリスク回避の動きから、円買いが強まる展開となりました。

もうひとつ目立ったのが、ユーロの軟調な動きです。12月から続くギリシャの財政赤字問題が年明けも尾を引き、ユーロへの信認低下が強まるかたちで、対円だけでなく、対ポンドやスイスなどでもユーロ売りが強まり、ドルを除くほとんどの通貨に対してユーロ安の展開となりました。

■高値圏ではユーロ売りが強まる傾向が

ユーロの売り材料とドルの売り材料に挟まれ、もみ合いが続く展開となりました。ギリシャの財政赤字問題に対する懸念が強まった12月初め頃からクリスマス前まで続いたユーロ売りドル買いの流れは、クリスマスシーズンに入って一服。その後は、年明けも続くギリシャ財政赤字懸念からのユーロ売りと、米雇用統計の弱い結果などを受けたドル売りにはさまれるかたちで、1・43001・4500を中心としたレンジ取引に終始しました。

NY原油先物が一時82ドル台をつけるなど、商品市場が堅調となっていることが、世界最大の石油消費国である米国の景気に悪影響を与えるとの思惑なども加わって、ややドル売りが優勢ともみえますが、ギリシャの財政赤字問題がもう一段深刻化し、ユーロからの離脱などという話になると、一気にユーロへの信認が低下する可能性がある分、高値からの買いにも慎重な姿勢が見られ、上下とも動きにくい展開になっているようです。

ギリシャの財政赤字問題は、ユーロ加盟各国政府の思惑もあり、調整が難航しそうです。メルケル独首相の辞任観測(政府当局がその後否定)が出て、売り込まれる場面があるなど、売り材料に神経質な展開も見られます。
そのため高値圏ではユーロ売りが強まる傾向が続くと見られ、来月からの指標発表などで米景気回復への期待が再び強まるようだと、再びの下トライも期待されるところです。

■「ユーロ/円」は、「ドル/円」の値動き次第で

クリスマス明けの円安の流れに乗って、130円近辺から133円台まで上昇するなど、年が明けても堅調な展開が見られました。米雇用統計発表前の調整局面で一時的に大きく値を崩しながらも、発表直前には完全に値を戻すなど、下値しっかり感の強い展開に。
しかし、雇用統計が衝撃的な弱さとなったことで、こうした流れが一服。発表直後の急落のあと、いったんはドル売りが対円よりも対ユーロで強く入った関係で、「ユーロ/円」でもユーロ高になる場面が見られ、134円台と1月ぶりの高値をつける場面もありましたが、その後は、リスク懸念が拡大するなかで円高が進行しました。ギリシャの財政赤字問題を受けてのユーロ安の流れもあり、年末からの上昇分を打ち消して、年初来安値を更新する流れとなっています。

財政赤字問題の早期解決が難しいなか、ユーロの信任問題は今後も「ユーロ/円」の頭を押さえてくると思われます。今後、米景気の回復期待が再び強まり、「ドル/円」がしっかりとした展開となると、「ユーロ/円」は頭が重いながら、もみあいが続くと思われますが、「ドル/円」が値を落とすようだと、「ユーロ/円」の下げは「ドル/円」以上に激しいものになる可能性があります。

■懸念材料への巨額投資が

振幅の激しい展開が見られました。クリスマス明けの円安局面では、年後半のポンド全面安に対する反動もあり、約5円のポンド高を記録しました。しかし、米雇用統計発表前の調整局面で、上昇分をいったん完全に打ち消す動きとなった後、発表直前までに直近レンジの真ん中程度まで値を戻すなど、約5円の大きなレンジのなかで振幅がみられました。 その後は、米雇用統計の悪化を受けたリスク懸念拡大や、ユーロ安の流れなどに頭を抑えられながらも、M&A報道などに絡んだ対ユーロでのポンド買いもあって、下値もしっかりという展開に。

昨年後半に懸念されていた景気回復の遅れについても、年が明けて一部金融機関が英国の景気回復は他の先進国よりも逆に早いのではという報告を出すなど、全般に懸念が後退したかたちとなっており、円が全面高となるなかで、比較的落ち着いた展開が続いています。

今後は、英国の景気回復動向をにらみながら、利上げの時期を探る動きが強まると思われます。昨年まで、英経済に対する期待が低かった分、ある程度景気回復への道筋が見えてくると、ポンド買いの動きが強まると見られ、基本的には「ポンド/円」はしっかりの展開が予想されます。ただ、英金融機関のドバイへの巨額の投資などが懸念材料として残っており、展開次第では、再び英国信用不安とポンド安という展開となる可能性は意識しておく必要がありそうです。

クリスマス明け後の円安基調のなか、順調に値を上げた「豪ドル/円」は、資源価格の上昇なども追い風に、年明けも堅調な動きを続け、2009年の高値を超えるところまで一時、上値を伸ばしました。しかし、米雇用統計発表後に市場全体のリスク懸念が強まると、「豪ドル/円」も高値から調整が入り、ある程度値を戻す展開となっています。
もっとも、2月の豪中銀金融政策会合において、昨年から数えて4連続となる利上げの実施が確実視されるなど、金利面での豪ドル買い圧力は強く、このところの円高局面でも、他の通貨ペアに比べて、円買いの動きが限定的なものとなっています。依然資源価格が堅調となっていることも豪ドルの下値を支えています。
豪ドルは、金利面では他の先進国に先駆けて利上げモードに突入し、豪ドルを支えるかたちとなりましたが、金利差を生かした取引は、市場のリスク許容度に左右されやすいという傾向があります。
今後、世界的な景気の回復が本格化し、リスク警戒感がもう一段後退してくると、年初来高値を再び越える動きも期待される一方、景気回復期待が弱まり、リスク懸念につながるようだと、これまでの上昇幅が大きい分、下方向への調整も大きなものとなる可能性があります。

利上げ期待が高まるなか、年明けも堅調な動きを続けていましたが、ここにきて高値からの調整も見られます。 隣国豪州が昨年後半から利上げを続ける一方で、NZは景気の回復が鈍いこともあって、NZ中銀は政策金利の据え置きを続けてきました。とはいえ、資源価格の上昇に加え、主力産業である酪農製品の価格上昇などもあって、NZでもインフレ懸念が拡大しており、市場は利上げへの期待を徐々に強めてきました。
もともとNZ中銀は、景気の回復動向次第で、今年中頃には刺激策を解除(利上げ)する意向を示しており、市場もそうした動きを織り込むかたちで推移していました。しかしここにきて3月の利上げを予想する専門家が増えてくるなど、利上げ時期の前倒し期待が出てきました。

こうした動きが今後さらに強まるようだと、「NZドル/円」はしっかりの展開が期待されます。地政学的な関係の深さもあって、値動きの相関が高い豪ドルも、基本的には堅調な動きが期待されており、NZドルの買い材料となっています。

懸念材料としては、豪ドル同様に、市場全体でリスク懸念が高まる状況に弱いことです。豪州と比べて、国の経済基盤が弱く、通貨の流動性も低いだけに、キャリー取引の解消局面では、真っ先に対象となる可能性があります。

順調にいけば、年初来高値を超えて70円を目指す動きも期待されるところですが、二番底への懸念などによって、投資資金のリスク回避が強まると、大きく値を崩す可能性もあります。

■上値トライが期待される

介入に警戒しながらのスイスフラン高も、対円では一服となっています。
スイス中銀(SNB)は、対ユーロを中心としたスイス高進行に対して、昨年、為替市場介入(ユーロ買いスイス売り)を実施しました。しかし、スイス高の大きな流れは止まらず、介入警戒水準である「ユーロ/スイス」の1・50を大きく割り込むかたちで、その後もスイス高が続いてきました。 「スイス/円」も、こうしたスイス高の流れを受けて、12月半ば以降、順調に上値を伸ばし、雇用統計発表後にクロス円が一段高となる場面では、91円ちょうど近辺と、12月半ばから5円以上も円安が進む展開が見られました。

しかし、その後円が全面高となるなかで、「スイス/円」でもポジション調整の動きが優勢となり、いったんは高値から値を落としています。 今年に入って新たにスイス中銀総裁となったヒルデブラント氏は、対ユーロでのスイス高に対して警戒姿勢を崩していません。しかし、実際の市場介入らしい動きが今年に入って見られないため、対ユーロなどでのスイス高は続いています。
そのため、「ドル/円」や「ユーロ/円」などでの円高傾向が一服してくると、今後は、「スイス/円」でも再び上値トライが期待されるところです。

 

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