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FX取引の誤解について:平田啓
FX取引の誤解について:平田啓

今回は知っていると知らないのとでは大きく異なるFX取引の誤解を2点。
1. 通貨ペアの組み合わせで分散投資が可能と、2. 手数料0円のFX会社を選ぶとコスト・パフォーマンスが良い、についてご紹介したいと思います。

まず1についてですが、「ドル/円」「ユーロ/ドル」「ポンド/ドル」など、米ドルを含む通貨ペアをドル・ストレート、「ポンド/スイス」「豪ドル/NZドル」など米ドルを含まない通貨ペアをクロス通貨と呼びます。クロス通貨のなかで、円を含む通貨ペアをクロス円と呼びます。 円を含まないドル・ストレートとクロス円を組み合わせて投資すれば、分散効果があるという記事などを目にしたことがあります。事実、取引できる通貨ペアを数多く取り揃えている外国為替証拠金取引会社もあります。このドル・ストレートとクロス円の組み合わせで本当に分散投資が可能なのでしょうか?

結論からいうと、通貨ペアの組み合わせで分散投資を実現することはできないといっても過言でないほど難しいのです。実は、どの通貨ペアを組み合わせたところで、「ドル/円」か「ユーロ/円」の取引をしていることと同義になってしまうからです。
では、なぜそうなってしまうのか、その理由を探ってみましょう。

まず、円を含まないドル・ストレート、たとえば、「ユーロ/ドル」の取引をしたとします。日本の投資家の多くは円資産を運用するので、「ユーロ/ドル」の取引をする場合、円でドルを借りてユーロを売買し、最終的に借りていたドルを円に戻すという取引をしていることになります。 つまり、ドル円市場の為替変動の影響を受けることになります。 これは円を含まないクロス通貨でも同じです。たとえば、「ドル/スイス」の取引をしても、円でスイス・フランを借りてドルを売買し、最終的に借りていたスイス・フランを円に戻すという取引をしていることになります。つまり、スイス円市場の為替変動の影響を受けることになります。

結局、円を含まない通貨ペアを日本の個人投資家が取引しても、日本円を含む「ドル/円」かクロス円の動向に影響受けることになります。次に「クロス円」の取引をしているならば、結局「ユーロ/円」の取引をしていることと同義になってしまう理由について探ってみましょう。

【図1】を見てみると、米ドルを含まないクロス通貨の取引高は、56・9%(=100%43・1%)になります。その56・9%のうち、ユーロと円のシェアが3分の1ほどを占めます。 つまり、クロス通貨はそれぞれの国の経済状況を反映して、それぞれ独立した変動をするというイメージがあるかもしれませんが、このユーロと円への偏りのある構造によって、すべてのクロス通貨がユーロ円市場の影響を強く受けてしまうのです。 とくに、その傾向はクロス円に顕著に現れます。

たとえば、【図2】は2009年1月?11月末までの「ユーロ/円」「ポンド/円」「豪ドル/円」「カナダドル/円」「ニュージーランドドル/円」を比較したものですが、中・長期的に見ると、おおよそ似たり寄ったりの動向を見せることがわかるでしょう。 これが、どのクロス円の取引を行っても、「ユーロ/円」の取引を行っていることとほぼ同義になってしまうという理由です。

FX取引の誤解について 図

円を含まない通貨ペアの取引を日本の投資家がしても、結局、「ドル/円」かクロス円の影響を強く受けている取引をしていることになります。さらに、すべてのクロス円が「ユーロ/円」に強く影響を受けてしまうので、最終的にはどの通貨ペアを組み合わせたところで、「ドル/円」か「ユーロ/円」の取引をしていることと同義になってしまいます。 これが通貨ペアの組み合わせで分散投資を実現することはできないといっても過言でないほど難しいという理由です。

■手数料0円のFX会社はコストパフォーマンスが良いという誤解

次に、2についてですが、FX取引で100万円儲けた場合、手数料0円の店頭取引A社経由で取引すると、税制50%が適応され、50万円納税しなければならないのに対し、手数料200円の取引所取引を介するB社経由で取引すると、税制20%が適応され、20万円の納税で済むとなっていたらどうでしょう? (この例のように、店頭取引は手数料0円が主流になってきているのに対して、取引所に参画するFX会社はおおむね100円?300円位に手数料を設定しています)。

実は、FX会社によって適応される税制が異なり、手数料の数百円にこだわっていると、何万円も損をしてしまう可能性があるのです。 もう少し具体的にいいますと、取引所(くりっく365、大証FX)に参画するFX会社と、取引所を介さない店頭取引を提供するFX会社では、前者のほうが圧倒的に有利な税制が適応されているのです。

これには、日本の当局の『FX取引をするなら取引所経由で行いなさい』という意図が隠されているようです。 日本では、金融商品や取引形態ごとに異なる税制が設けられていて、統一感がありません。これは、日本が投資後進国であるひとつの証しなのですが、現状では無駄な税金を支払わないですむ手段を講じるしかありません。 それが、FX取引では目先の微々たる手数料で比較するのではなく、優遇税制を受けている取引所取引を提供するFX会社を選択するということなのです。

もう少し税制について説明すると、取引所取引には分離課税、店頭取引には総合課税が適応されます。分離課税(取引所取引)と総合課税(店頭取引)の税制は【図3】のようになっています。

FX取引の誤解について 図

取引所を経由してFX取引を行った場合、所得に関わらず一律20%が課せられます。一方、店頭取引でFX取引を行った場合、所得が高ければ高いほど、FX取引で獲得したリターンが多ければ多いほど、徴収される税額は多くなります。 ただし、FX取引による利益が20万円以下なら非課税です。また、年間所得195万円以下の人に対する総合課税は15%なので、取引所取引経由の分離課税20%よりも低くなり、店頭取引のほうが税制面で有利となります。

さらに、分離課税(取引所取引)では繰越控除が認められていて、翌年以降(3年間)の利益と相殺させて節税できるのです。たとえば、1年目に30万円の損失、2年目にも30万円の損失、3年目に50万円の利益を獲得したとします。すると、3年の合計でまだ10万円(=マイナス30万円マイナス30万円プラス50万円)の損失を抱えているので、繰越控除を利用して、分離課税(取引所取引)の場合は課税されません。ただし、繰越控除を利用するには、毎年確定申告しておく必要があります。

一方、この例で繰越控除の認められていない総合課税(店頭取引)の場合は、3年目の利益50万円にしっかり課税されます。年収が195万円以下の人ならば15%の7万5000円(=50万円×15%)、年収が1800万円以上の人ならば50%の25万円(=50万円×50%)を税金として納めなければならないのです。 取引自体では3年の合計でまだ10万円の損失を抱えているにも関わらず、国は容赦なく徴収します。

 

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