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2012.2月号

杉本貴秀

BOは「ジキルと
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杉本貴秀

藤野宙志

金融・ITの
潮流 第6回
藤野宙志

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レンジ相場の
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相場の学び方:林康史
相場の学び方:林康史

■相場を学ぶということ

●3つの柱~予測技法・知識

私たち日本人は、投資や相場を学ぶと聞くと、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析、等々の予測技法、あるいは、市場の仕組みとかの知識を学ぶということを思い浮かべがちです。 もちろんそれは大事なことですが、しかし、相場を学ぶという3つの柱のひとつでしかなく、じつは、あと2つ柱があると考えています。ここでは、皆があまり重きを置かない2つの柱について述べておきたいと思います。

●心理

ひとつは、心理面の研究です。現実のマーケットで売買しているのは生身の人間なのですから、そういうものも勉強していく必要があると考えます。 マーケットの心理といったときには、マクロとミクロの意味があります。 マクロというのは、たとえば、参加者の期待がマーケットの価格形成に影響を与えるために、社会心理学的な理解が必要であるという意味です。ケインズの美人投票とか、アフタリオンの為替心理説は、よくご存知でしょう。通貨危機に関して「マーケットは自己実現的である」などといういい方もします。

また、ミクロというのは、ポジションをもったときのプレッシャーなど、マーケット参加者の心理的な問題です。ある投資家が予測技法を学んで、仮に正確な予測ができたとしても、精神的な弱さが原因で適切な対応ができないかもしれません。『金持ち父さん』シリーズで知られるロバート・キヨサキは、「金持ち父さんによるレッスンは、まず頭と心の準備、つまり自分自身をコントロールすることから始まった。投資が本当に行なわれるのはそこ以外にないからだ。投資は究極的には自分自身をコントロールすることに始まり、自分自身をコントロールすることに終わる」(『金持ち父さんの投資ガイド入門編』)と述べています。

私も、セルフ・コントロールのできない人が、訓練なしにマーケットで成功するのはほとんど無理だろうと思います。また、別のところで彼は、少なくともチームに心理学者が1人は入っていないといけない、と述べています。個人投資家はチームではありませんから、私たち自身が心理学者や心理カウンセラーの視点ももたないといけないということになります。

●運用ルール(運用の技)

さて、人は精神的に弱いものだとすると、心理的な弱点を補う必要があります。そこでもうひとつの柱、運用ルールや運用の技術を学ぶ必要があるということになります。人間は心理的にいろいろなバイアスを受け、脆い面を多々もっているので、その対策の一環として運用ルールが大事になるわけです。

ルールというと、自然界の法則みたいに、マーケットの値動きのルールと思う人もいるかもしれません(そういう誤訳をしている本もありました。そういうのを読んでも勉強にならないのは当然です)。 ひとつは運用ルールです。端的にいえば、どのような条件でマーケットに入って、どのような条件でマーケットから出るか、というルールを各自が決めて、それを守ることです。欧米のディーラーやトレーダーを見ていると、マーケットを勉強することの半分は、この運用ルールを勉強することだと考えているような気がします。

日本のディーラーやトレーダー、あるいは個人投資家も、こうした運用ルールについて、もっと勉強する必要があると思います。 運用ルールの典型的なものとしては、ストップ・オーダーの使い方があります。これは、実際にマーケットでポジションをもつときに、どの価格・時点で損切りしてポジションを閉じるかという決めごとで、具体的には、逆指値注文を使って反対売買することです。ストップロス・オーダーと呼ばれることもありますが、ロスのときだけに限るものでもないので、利食いも含めて、ストップ・オーダー、あるいは、自分を防御するという意味で、プロテクティブ・オーダーと呼ばれたりもします。

致命的な損失を出さないようにするためにも、このストップ・オーダーを学ぶことは非常に大事です。 また、一般には、ストップ・オーダーは価格水準によって発動すると思っている人もいますが、時間も大切なことを付言しておきます。たとえば、買った後、その銘柄が数年も同じような水準であったとすれば、投資先を選びなおすべきでしょう。数十年も同じだったとしたら、インカムゲインは別として、投資とはいえないのではないでしょうか。

先走っていってしまうと、1. いくらに上昇したら利食い(売りポジションだと損切り)、2. いくらに下落したら損切り(買いポジションだと利食い)、3. (たとえばですが)6カ月間、1. 2. の水準にいかなければポジションをはずす(損切りか利食いかは問わない)というようなルールが必要なのです。 こうした運用ルールを考える際には、まず「目的は何か」をはっきりさせる必要があります。明確に「儲けが目的である」と意識したうえで、その目的を達成するための運用ルールを設定し、それをきっちり守ることが重要です。

また、運用ルールは長期取引と短期取引では異なる部分もあります。マーケットは時間と価格で成り立っていますので、時間と価格の両方が当たらないと利益をあげることができません。 買ったものをその日のうちに売ってしまうデイトレードと、数年も買い持ちしておく長期取引とでは、時間のフレームがまったく違いますから、運用ルールも違ってくるわけです。

●師匠につく・本を読む

あらゆる勉強に通じることですが、投資について学ぶことも人それぞれ、その方法は異なります。たとえば、リスクに対して非常に臆病な人、頭脳明晰な人、あるいは自分でそう思っているだけの人など、さまざまな人がいて、やり方や勉強の方法はその数だけあります。

こうした3つの柱を具体的に勉強する方法のなかで、一番早いのは師匠につくことだろうと思います。師匠や兄弟子が何をしているのかを横で見ながら覚えるという学習方法は、もっとも手っ取り早いと思います。 そうはいっても、なかなか簡単には弟子入りはできないでしょう。そうすると本を読むのが次善の方法ということになると思います。私のところにも相場のやり方・考え方を教えてほしいと訪ねてくる人がいますが、私は本をいくつか挙げて、それらを読んでからにしましょうということもあります。

ここで、質問が出そうです。「どういう本を読めばいいのですか?」と。 実は簡単で、「いい本」です。ふつうは、読んでいる途中でわかると思いますが、読み終わった後でも、「いい本かどうかがわからない」というのであれば、本当に勉強が足りないということです。

いい本かどうかは真剣に読めばわかるはずです。奥付の著者の経歴を見てもなんとなくわかると思います。友人に聞くのもいいかもしれません。私はよく「ホンモノ」とか「一流」という言葉を使うらしいのですが、一流の人(当然ながら単に有名ということではありません)が書いた本を読むのです。

5冊や10冊読めば、いい本に当たる可能性が高まります。よくない本を一所懸命に読んで、うまくいかない人がいます。かわいそうですが、それは必然です。本は師匠の代わりなのですから、師匠としての能力のない人に弟子入りしたら、当然、立派な市場参加者にはなれないのと同じことです。 また、師匠は質問に答えてくれるが、本は無理だと考える人がいますが、それは訓練次第です。「この本の著者は、現在の私にどうアドバイスするだろうか」と考えてみるのです。そういうことが自在にできる人は相場もうまくなります。

私も、ゼミ生や受講生に質問されたときには、まず、「私がどう答えると思いましたか?」と聞くことが多いのですが、自分で解答を予想しないで質問にくる人が多いのです。もったいないと思います。せっかくのOJTのチャンスを生かしていないということです。悩むということは、上達のチャンスなのです。これを活かさない手はありません。

 

■勉強の進捗度チェック

●牡牛と牝牛

9月に講演のために内蒙古にいったのですが、面白いことがありました。モンゴル族は、牛馬を事細かくわけて名前をつけているのです。1歳のオスと2歳のオスとでは名称が違うのです。もちろん、子どものときから都市に住んでいる人には、その違いはわかりません。 英語では、牡牛、牝牛、子牛、等々、すべて違う単語です。日本語では、子どもの牛というふうに2つの語でしか表現できません。水牛などという種どころか、属が違うものまでウシと、一括りでいったりします。肉も同じです。

日本語の牛肉、豚肉、鶏肉はすべて2つの単語からできています。英語を母国語とする人たちは家畜や肉に興味があって詳しいけれど、日本人はそうではないということです。 逆に、「コメ」と「飯」を同じものだと思う日本人はそんなにはいないでしょう。日本語ではひとつの単語で表現できるものが、英語では、生の(未調理の)コメ、調理されたコメと2つの語で表現するしかないのです。

つまり、民族により興味のある事柄は異なりますが、そうしたものに対しては細かく名前をつけているわけです。人も同じで、ある分野の単語に詳しい人は、その分野に興味があるということですし、逆に、興味があるからさまざまな単語を知っているということになります。 金融や投資の単語を知らないという人は、金融や投資に(少なくともこれまでは)興味がなかったということです。逆に、単語を知らないから、情報収集も困難になるわけです。単語を知らないなら、講演を聴きにいってもチンプンカンプンでしょう。 業界用語や隠語も同じで、単語を知っているからこそ、理解が早いのです。

●単語量

一般には、単語量が知識や実力がついたかどうかのバロメーターになるということがわかります。私は大学の1年生に、「1日5つ、経済や金融の単語を、英単語を覚えるようにして覚えてごらん」といっています。ときどきサボったとしても、大学の4年間で、ずいぶんと実力がつくはずです。

先日、ウェブラジオの番組で、「どのくらいの知識をつければよいのか。知識をつけてきたとは思うけれども自信がない」というリスナーからのメールがありました。私は、用語集や、専門書の巻末についている索引などを見ながら、これは説明できる・できない、と自分でチェックしていくというのも手だと思います。 本を買うときも、索引とかを見て、その本と自分のレベルとの差をはかるということも必要でしょう。

 

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