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各国の人口動態と人口政策目!  堀江貴文

■3人目の子どもに1000万円


私がとあるベンチャー起業家から聞 いた話なのだが、彼の持論として日本には少子化対策が必要であり、その少子化対策の切り札として3人目の子どもに1000万円を渡すという話をしていた。 2人目でもないし、4人目以降には渡さない。あくまでも3人目だけという話だ。それも夫婦は同じ組み合わせでだ。

なるほど人口増を考えれば2人の夫婦 で2人だと人口は増える方向にはいかない。もちろん高齢化が進んでいるので、若干は人口そのものは増えるかもしれないが、税収を納めるほどの労働力人口の 増加には繋がらない。そういう意味では3人目をつくるということは人口を1.5倍にする効果があり、彼のいっていることは若干過激な策とはいえ、人口増に はかなり役立つと思われるのだ。

たとえば、今、民主党が政策として推進している子ども手当て月2万6000円。中学校卒業まで給付すると すれば、約15年の給付となり、2.6万円×12カ月×15年=468万円の総額給付となる。仮に、3人に給付するとすれば総額で468×3人=1404 万円だ。総額で見ると、1000万円を軽く超えている。

しかし、インパクトとしてみるとどうだろう? 3人目をつくれば1000万円のほうが非常に魅力的ではないか。しかも、政府としては総支出額を抑えられるのだ。もちろん、1人や2人でも子どもをつくり やすくするという意味では、子ども手当ては効果があるのだろうが、逆に1人や2人でいいやと思っている人たちにもう一人つくらせるという意味では、あまり 効果がない。人口を大幅に増加傾向にもっていこうと思えば、やはり一人でいいと思っている夫婦に3人目になれば1000万円もらえて、マンションのローン の頭金にできるとか思っている人たちの気持ちを煽るしかないと思うのだ。そういう意味で、1000万円を3人目に給付する案は、人口の増加策としては一番 効果がある方法だと思うので、実際に政策に取り込んで欲しいのだけど、難しいだろうなあ。

■自然に任せた緩やかな人口政策を


かつて、日本は同じように人口増を図る政策を行ったことがあった。1940年代のことだ。昭和に入り、出生率が低下傾向になっていたが、富国強兵政策を取っていた政府は、兵力増強のために大胆な人口増加策をとった。それが子宝手当て、子宝減税というものであった。

平和な平成の世の中で同じような政策が取られていることは歴史の皮肉としかいいようがない。その結果として、多くの子どもたちが結局は兵隊にとられることもなく、戦後の荒廃した国土再建のために頑張ることになるのだが......。

政 府はときとして、人口を増加させようとしたり、抑制しようとしたりするものである。出生率をアップさせたりダウンさせたり、移民を促進したり排斥したり。 私は政府によるこういった人口の上げ下げは、ときとして人口の年齢別の歪な分布を促進し、社会構造にいろいろなマイナスを引き起こすと思っているので、あ まり推奨はしない。むしろ、自然に任せて、緩やかな人口政策をとるべきという立場である。

■中国の少子高齢化社会の悲惨さ


た とえば、中国は1970年代から増えすぎた人口を抑制するために一人っ子政策を始めた。それが戸籍に登録されない子どもたちを生んだりするきっかけにも なった。しかし、成熟して豊かになった社会で出生率が下がるのはふつうの話であり、中国もいずれそうなる。というか、そうなりはじめている。

インドだって今は人口が急速に伸びているが、いずれ豊かになり出生率が2を割り込む日がくるはずだ。中国の一人っ子世代は高齢化の波で1夫婦あたり4人の高齢者の扶養をしなければならない日がくる。

こ れは大変な負担である。兄弟がいれば助け合うことができるが、2人で、それも働いて子どもを育てながら2つの両親の面倒を見るというのは、経済的にも時間 的にも大きな負担になるはずで、これが将来の中国の少子高齢化社会の悲惨な予測である。現在の日本よりも酷いことになるかもしれない。

■中国は近い将来、分裂の局面に?


2010年の上海万博から10年後くらいにそのような時代がくるはずである。そのときには、もしかすると日本でバブルが崩壊したように中国の高度成長も終りがくるかもしれない。

日 本も1970年に大阪で万博があった。それと中国の上海のそれは非常に似ている。その後間もなく日本では2度のオイルショックがあり、最後の宴の如くバブ ル経済が起こり、そして、1990年に華々しく崩壊した。これはすでに1970年代後半から日本経済の高度成長は曲がり角を迎え、そのあだ花としてバブル とその崩壊があったと解釈できよう。

中国もそういう時期が近いが、それに人口政策の失敗が大きなツケとなって中国経済を襲うはずである。 その頃にはもしかすると、中国共産党の指導能力が再び大きく問われることとなり、ソ連が崩壊したかの如く、中国もチベットやウイグル、モンゴル自治区など が独立して分裂することになるかもしれない。

国際投資をするものとしてはこの動向はチェックすべき項目であろう。

■子育てはひとつのコンテンツ


人口の話に戻ろう。1000万円を3人目に払う案を披露してくれた起業家氏は、私が政府による人口増加策への消極的な姿勢を見て、こういう話をしてくれた。それは、子育てというのはひとつのコンテンツなのだということである。

「貧乏人の子だくさん」という言葉があるが、子どもは育つのが早い。生まれてたったの10数年で働けるようになる。だから、たくさん子どもをつくって、子どもに食わせてもらうのだという。日本で子だくさんといえる家庭はほとんどみなくなった。

それだけ日本は豊かになったということである。自分のできなかった夢を子どもに託す親はいても、将来、たくさんの子どもに食わせてもらいたいと思っている親は少ないのだと思う。

一方で、製造業の派遣など、いわゆるブルーカラーの退屈な労働は増加傾向にあるはずだ。しかも、国際競争に勝たねばならないから、労働賃金は派遣システムなどにより低く抑えられる傾向にある。

つまり、退屈な労働をしながら、しかも、もらえる賃金は低いという非常にモチベーションが上がりにくい構造になっているのだ。それはホワイトカラー方面にも広がりつつある。

つまり、退屈な労働をしながら、しかも、もらえる賃金は低いという非常にモチベーションが上がりにくい構造になっているのだ。それはホワイトカラー方面にも広がりつつある。

IT技術などの進歩により、多くの仕事が自動化できるようになってきた。理系技術者の活躍の場所は理系離れもあり、むしろ増えていく方向にあるのだが、いわゆる文系ホワイトカラーの居場所は確実に狭くなりつつある。

夫 婦で共働きどころか、旦那のほうが主夫をやるというライフスタイルすら当たり前になりつつある。このような家庭にとって子育てというのは、面倒ではあるが 遣り甲斐のある仕事になりつつあるということだ。これをコンテンツと呼んだのは金のかかる娯楽ではなく、ある意味、自分の余った時間を使って人間を育てる という飽きのこない活動に熱中できるということなのだ。

確かに仕事が忙しくて、稼いでいる共働き家庭においては、子どもをつくるというモチベーションがわきにくいということは事実である。保育園の問題にしたって、明らかに国の政策は共働き家庭を支援する方向には動いていない。

社会全体もメイドやベビーシッターの就労を促進し、そのような家庭を容認する方向には向かっていないように思える。

これでは働く両親が子どもを育てるのは難しいし、仕事も充実しているから子どもをつくりたいとは思えなくなるのも無理はない。これに関しては別途、規制緩和や制度の改良が必要になってくると思われる。

確かに、子どもを育てることで、仕事をワークシェアなどで減らされる傾向にあるブルーカラー層のひとつの大きなモチベーションにすることは、社会全体の安定を考えるうえでは大事なことである。なので、ある程度、私もその起業家氏のいうことに納得したのであった。

■人口の増加が経済を活性化させる


このような人口動態の変化は、その国の今後の経済のあり方を占ううえで非常に大事なポイントである。

た とえば、アメリカ合衆国は未だに人口が増加傾向にある。なぜなら、移民の受け入れを積極的というわけではないが、行っていること。もちろん、それはアメリ カンドリームを夢見る世界中の憧れの的になっているということが原因なのであるが、断りきれないくらいの移民が永住権=グリーンカードを狙っているのであ る。

従って移民による流入増、そして隣国メキシコや中南米地域からの移民の増加が出生率のアップを後押ししている。スペイン語を話すヒスパニック系米国人は出生率が比較的高いのだ。

そんなこともあり、アメリカはまだ活気を失っていない。イノベーションを継続的に生み出しているのだ。

■日本は世界一の高齢化社会


もちろん、アメリカは世界最大の債務国であり、$20兆もの債務を背負っている国である。これだけの債務を返せるかといえば、難しいといわざるを得ない。だが、可能性がゼロというわけでもないだけのポテンシャルを秘めているといえるだろう。

日本は国で$1兆もの外貨準備高がある。民間含めて$6兆ものドル建て資産をもっているといわれる。

ただ、米国債を売り浴びせてしまえば、世界経済に大ダメージを与えてしまう可能性があるので難しいとは思うが、日本はアメリカと違い、高齢少子化で人口も減り続けている。

驚くことにアメリカの平均年齢は30歳代であるのに、日本は40代後半なのだ。世界一の高齢化社会だといわれる所以である。

このような状況で他国の債権を大量に保有している状況は非常に危ないといわざるを得ない。日本はもっと自国の資産を有効に将来のために使うべきなのではないかと思っている。

■2020年頃には中国は未曾有の経済危機に?


さて、先に触れた将来の高齢化大国である中国だが、もの凄い勢いで世界の工場から先進国の仲間入りを狙いつつある。政府の外貨保有高は日本を抜いて世界一となった。もちろん、アメリカ合衆国債の最大の保有者である。

しかし、人口減社会を間近に控えている。今は年間数パーセントずつ経済成長をしているが、いずれ止まるだろう。20代〜40代の社会の景気を支えている層が、急減していくからだ。

そのターニングポイントは先に説明したとおり、上海万博が終わって数年経ったころ、おそらく2020年前後になるかと思われる。最後は日本と同じようにバブル的な伸びがあって、未曾有の経済危機が待っている可能性は十分に考えられる。

■インドは今後10年で社会が改善される


そ して、次にピークを迎えるのはインドだろう。ただインドは中国のように人口を抑制する政策を取っていないので人口構成が歪になることは考えづらい。そうい う意味では、インド経済の伸びは長い間止まらない可能性はある。しかし、まだカースト制度も残っているし、電気も通っていない村も多いらしい。まだまだ衛 生状態も悪いようだ。

しかし、ここからの10年で大きく改善することは間違いない。なんといっても英語が通じることが、インドの経済成長においては非常に役に立つことは間違いないだろう。

■人口動態は各国経済の重要な先行き指標


こ のように人口の動態は非常に各国経済の先行きを見るうえで重要な要素になってくる。そして、政府がこのような人口の調整に手を入れるものだから、歪な人口 構成になりやすいのだ。本来であれば国はもっと長期的なビジョンをもって未来を見据えた政策をとらなければならないはずだ。

しかし、世論の動向が選挙に影響を与える以上、国民の短期的な目を気にせざるを得ない。ここが政権運営の難しいところである。現在は国際的な圧力もかかってくる時代だ。

かつて中国は、人口爆発の最大の震源地であった。国内的には人口を減らさなければならないのではないかという批判に晒され、一人っ子政策を導入したが、逆に人権問題として国際社会からは批判されたりした。

■為替投資にとって


人口分布とその将来予測は重要な要素


為替投資をやるうえで、各国の人口分布とその将来予測をすることは、基礎的な理解を進めるうえで非常に大事な要素である。当然の前提として頭のなかに入っておかねばならない。

それを理解したうえで、たとえば、現在は円高傾向にあり、将来的にはどのようなトレンドに向かうのか、それを理解していかなければならない。もちろん、各国のマクロ経済政策も影響しよう。

たとえば、キャリー通貨としてつい3年前までは円がメジャーであったが、今はドルキャリー取引がメジャーとなっている。

そういう意味で、円がドルに対して買われる展開になっているのだが、国の債務は日本も危険水域であり、経済成長もこれからは乏しい。対ドルの動きだけでなく、ユーロや、元など他の主要通貨との動きも継続的にウォッチしていく必要があるだろう。

ただ、確実にいえるのは、長期的にみて、日本経済は斜陽であり、これからは中国やインド、そして他の新興国の時代であることは間違いない。人口分布がそれを象徴しているのだ。
 

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