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〜為替で勝つための答え〜   陳満咲杜

■下流社会は為替に達成感を求める傾向が強い


為替や先物は、本来た いした差はありません。ではなぜ皆、トウモロコシや小豆などには投資しないのでしょうか。それはおそらく、為替相場を見ていると、ワクワク感や達成感があ るからに違いありません。為替に投資するには政治や経済などを勉強する必要がありますが、こうしたことを知ることで満足感を得られるのでしょう。

ただ面白いのは、言葉はよくありませんが、いわゆる下流社会の人のほうが、こうした達成感を為替に求める傾向が強いようです。しかし、「相場を読んでいる」「世界を読んでいる」という考えは失敗を招きます。

下流ほどリアルな生活のなかに味わえないことを相場に求め、上流はビジネスと相場に関してはクールで、徹底したリスクコントロールをしています。上場企業の社長ほどマクロ経済に興味がないのはその好例で、彼らが気になるのは、やはり、企業のコストと売れ行きです。

マクロ経済を熱心に勉強している社長はだいたい無能で、有能な社長はやはりマネジメントと組織の生産効率、マーケティングなど、地に足がついたものだけを見ています。

これをトレーダーに当てはめるなら、相場のトレンドをチェックしたり、リスクコントロールしたり、そういう現実的なことしか見ていないということです。

そもそも、マクロ経済などというのは本来、大学教授の分野です。大学教授がなぜそれをやるのかといえば、それが彼らの仕事だからです。

■プロの投資家のレポートを読んでも勝てない


こ れを勘違いしているのが「着物トレーダー」です。皆、マクロ経済論やアメリカの経済などの講義が大好きです。しかし、それは株式の運用やFXの運用には役 に立ちません。むしろ、有害なことのほうが多いのです。言い換えれば、上流の人ほど自分の財布を気にし、下流の人ほど世界の経済を気にしているといえま す。

また、銀行のアナリストたちが、なぜ高給をとっているかも考えるべきです。仕事として相場や国際状況を読んで、いろいろリサーチしたことを書くことで高給をとっているわけですが、ここで強調したいのは、彼らは相場から直接に儲けを得ているわけではないということです。

個人の投資家は「プロの投資家のレポートを読めば勝てる」などと勘違いしてしまいますが、すべてのレポートを読めば本当に勝てるのでしょうか。まず勝てません。結局、為替で勝つための答えは為替にしかないということです。

■誰もが儲かる相場は存在しない


生き残りという言葉の意味は重いものです。「株式投資の神さま」と呼ばれるウォーレン・バフェットをご存じでしょうか。氏にいわせると、投資で成功するには「3つの原則を守らなければいけない」とのこと。

第 1の原則は「損をするな」。第2の原則は「第1の原則を忘れるな」。第3の原則は「第2の原則を忘れるな」というものですが、さすがに投資の神さま、言葉 にユーモアがあって示唆に富んでいます。この原則はリスクコントロールの重要性を強調しています。神さまと呼ばれる人がなぜ成功したのか。その原点がここ にあるように思います。

皆、儲かりたいから相場に参入するのでしょうが、皆が儲かる相場は存在しません。とくに、ゼロサム・ゲームの代表 格としての為替相場は、損得において常に全体的均衡を保っているので、必然的に少数派の勝利となりやすいものです。だからこそ、いかに儲かるかを考えるよ り、いかに損しないかを考え、行動するほうが重要です。

ゼロサム・ゲームでは、敗者でなければ必然的に勝者となるので、相場に生き残ることが前提であれば、損失回避、すなわち元本保全のほうがトレーダーの主要任務になります。それにもかかわらず、為替相場に参入する個人投資家のほとんどが、これをおろそかにしています。

■他人と、多数派と違う行動をとることが重要


な ぜゼロサム・ゲームで儲かるのは少数派なのでしょうか。それは、ゼロサム・ゲームは新たな富や新たな価値を創出しないからです。多数派が損をしなければ、 少数派の勝利は保証されません。仮に、多数派が勝利してしまうと、少数派の損失だけでは分配しきれなくなってしまいます。だから、多数派は自然に損をし、 少数派に多数派の損失が分配されるのです。

これは非常に大事なポイントで、つまり、ゼロサム・ゲームにおいては往々にして他人と違うこと、要するに多数派と違う行動をとらなければいけないということです。

も ちろん、これは戦略論・原則論であり、トレンドの逆をとるという方法論ではありません。逆にいえば、方法論はシンプルで、トレンドに沿った取引をすればい いだけです。なぜ多数派が失敗するかというと、多数派ほどトレンドと逆のポジションをとりたがるからです。それに尽きます。

相場に参入してから5年〜6年が経って、儲かりもしなければ損もしていないという状況はめったにありません。損をするか、儲かるかのどちらかです。興味深いのは、損する人は大損をしていて、儲かる人は皆かなり儲かっているということです。

■損をしないことが大事


こ こでひとつ簡単な計算をしてみましょう。仮に、100万円の元本をもって数回の取引をし、50万円の損失をこうむったとします。この時点で損失率は50% に達しています。そして、残った50万円を使い、また相場を張り、100万円まで増やすためには何%の勝率を求められると思いますか? 答えはなんと100%です。

史上最高額を稼いだ投資家といわれるジョージ・ソロス氏さえ、平均パフォーマンスは35%前後です。100%のパフォーマンスを達成するのは、いかに難しいかがおわかりいただけると思います。

つまり、損をした後に、少ない元本で元の元本まで増やすのは不可能に近いということ。だからこそ、損をしないことが大事なのです。

元本に対しての損失を抑えないと、トレーダーは取引すればするほど負けていくことになります。その理屈は明白で、市場より大きな元本をもつ個人あるいは集団はいないからです。スプレッドなり手数料なりのコストを払うので、勝負にもなりません。

■投機とギャンブルの根本的な違い


逆説ですが、投機とギャンブルの根本的な違いは、投機の場合、1回の取引(賭け)に対して途中でやめることができるのに対し、ギャンブルは途中でやめられない点にあります。

投機はダメなら損切りをして損を確定できますが、ギャンブルはゲームが終わるまでかけ金をプールしなければいけません。ゲームの結果のみで、儲かるか損をするかというのがギャンブルです。

だから、為替マーケットにおいて、損切りしない、損切りできないという人は投機でなく、ギャンブルをしていることになります。
 

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