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ギリシャをはじめとするユーロ圏の重債務国への懸念が収まらず。

今週の見通し10  GCIキャピタル・チーフストラテジスト:山岡和雅

yamaoka_120x159.pngギリシャをはじめとするユーロ圏の重債務国への懸念が収まらず、ユーロは17日、対ドルでリーマンショック後の最安値を割り込み、2006年4月以来となる1.22台前半まで売り込まれた。5月はじめの急落で110円台をつけた後122円台半ばまで値を戻していたユーロ円も、わずか1週間で112円台半ばまでと、約10円の下落を示現するなど、ユーロ安の流れが継続している。

ユンケル・ユーログループ議長など欧州の要人からは、ユーロ安のスピードについて警戒する発言が出てきているが、市場のムードを替えるには至らない様子。 ポンドもユーロにつられる形で売りが先行しており、対ドルで2009年3月以来の安値圏まで売り込まれるなど、欧州通貨安はとどまるところを知らない展開となっている。 今週も、欧州通貨の動向から目が離せない状況が続きそうだ。 ユーロの材料としては、21日のドイツ第1四半期GDP(確報値)とIfo景況感指数に注目が集まる。また、同じ21日に出る英国の公共部門ネット負債にも注目したい。

ユーロドルは昨年末からすでに2700ポイント以上も値を落としているだけに、水準的には底値警戒感が出てきてもおかしくないところ。ただ、今回のユーロ安の大元にあるギリシャやスペインなどの財政赤字問題に関しては根本解決が難しく、ユーロの信頼性の毀損という大きな問題がくすぶっているだけに、今後も下値リスクを意識していく必要がありそう。ギリシャなどの救済において、中心的な存在にならざるを得ないドイツの経済指標結果次第では、市場のリスク懸念が強まり、もう一段のユーロ安が進む場面もありそうだ。また、ユーロ同様に売りが強まるポンドは、対GDP比でギリシャ並みの水準まで広がった財政赤字問題が注目ポイント。月次の財政赤字状況を示す公共部門ネット負債などに普段以上に反応してきそうだ。

基本的には、今週も欧州通貨安の流れが続くと見られるが、これまでの動きの激しさから安値を売ることにやや慎重な姿勢も見られるだけに、指標結果などが下を試す大きな一押しとなるかどうかを見ていきたいところ。

ギリシャを支えきれるかドイツ

21日にドイツの第1四半期GDP(確報値)とIfo景況感指数(5月)が発表される。いずれも前回に比べてやや改善の見通し。ドイツはユーロ圏でもっとも経済力が高く、ギリシャなどの救済に関して中心とならざるを得ない立ち位置にあるが、ドイツ経済自体がそれほど力強いわけではない分、ドイツ国民の間では救済に反対の意見も強い。注目度の高いIfo景況感指数などが予想外に弱めの数字を示してくると、世論の反発が一層強くなることが予想され、救済に暗雲が立ちこめるだけに、結果をしっかりと確認しておきたいところ。今のところの101.9(前回101.6)という市場予想値に対して、100を割り込むような数字が出るようだと、要注意である。

新政権誕生を受けて財政赤字問題への注目高まる

やや蚊帳の外となっている米国も、14日には小売売上(4月)が発表される。先週発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が予想の19万人増を大きく上回る29万人増という好結果を記録した。個人消費と直接関わるため注目度が高い小売売上においても、雇用統計の流れを引き継いで好結果が期待されるところ。今のところ予想は前月比+0.2%。前回の+1.9%からは増加幅が縮小しているが、前回は自動車業界が大規模な販売促進を行ったことや、歴史的な寒波の影響で前々回が弱くなった反動などをうけて、実態以上に強く出ただけであり、そこからさらにプラスと言う今回の予想はまずまずな数字といえる。ただ、市場はギリシャ問題に絡んでリスクに対して敏感になっており、強めの数字でのインパクトがそれほど期待できない一方、弱い数字が出てくると、クロス円の売り圧力が強まることが予想されるため、前月比マイナスなどの数字が出てくるようだと要注意である。

5月はじめの総選挙に結果、これまで野党であった保守党が第一党となり、第3党である自民党との連立の下で、キャメロン新政権が発足した。英国は、これまでの労働党政権下で、近年の景気底入れ策などを行った結果、財政赤字が対GDP比でギリシャ並みの水準まで拡大しており、ユーロ同様にポンドが売りこまれる要因となっていた。しかし、オズボーン新財務相が、財政支出削減を盛り込んだ緊急予算案の提出を発表するなど、新政権は財政再建に前向きな姿勢を示しており、動向が注目されるところとなっている。

こうした中、21日には公共部門ネット負債(4月)が発表される。前回(3月分)は、月次で235億ポンドと、統計開始以来最大の赤字を計上。2009-10年度通算では、前年比76%増の1528億ポンドと戦後最大の赤字を記録した。4月は季節要因で財政赤字が3月に比べ改善する傾向があるだけに、106億ポンドまで赤字額縮小が予想されているが、予想ほど赤字が縮小しない場合、新政権への大きな重石となり、ポンド売りを誘うと見られる。

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